そこはかな秘密
「あたしも、あなたと一緒に居たい」
ふわりと笑った顔が近づいて、笑顔がより深いものに変わる。
「後悔させないくらい、あなたを愛します」
手を触れたら切れてしまいそうな、そんな怜悧な佇まいは、彼の本体からきているんだ。
「ずっと千年先まで愛してください」
「肉体が滅びても何度でもあなたを捜します。だからあなたの心をください」
「……はい」
見えない糸が縒り合わさり結びあったのを感じた。
だからあたしは彼を受け入れて生きていく。たとえ付喪神だとしても、ここに存在していることが全てだ。
彼の手が運命の糸を切るものだとしても、この細い糸だけは決して切らないと知っている。
それだけは確かなことだ。