そこはかな秘密
「あたし達、もう終わりだね。もう昌也が何考えてるかわかんない」
「オレだってずっとわかんなかったよ、オマエが何考えてんのか。それじゃオレら行くから。またよりを戻すとか考えないでくれよ」
「有り得ないから、それ」
ムカつく!
なんでそんなにモテるとか思えるの?確かにカッコいいって思ってたけど、恋愛フォーカスかかってたんだからね!
それが消え失せた今となっては、ドコがよかったのかもわからない。
優しくて、あたしのことを一番に考えてくれていた彼はもういないんだ……
悔しくて大股で駅から引き返す。とにかく、ここから離れたかった。
何も考えずに、足を踏みしめるように歩いていたら会社に着いてしまった。暗いオフィスの窓を見て、しばらくここで落ち着いてから帰ろうと思った。