我那覇くんの恋と青春物語~桜沢紗希編~
「それにしても、水谷さんって警備員さんと仲が良かったんだね」


「うん、朝練で早く来たときにいつも開けてもらってたから」


学校が開いていない時間から朝練・・・

警備員と仲が良いことにも驚いたが、そんなに早く学校に来ていることにも驚いた。


「百合ちゃん、本当にありがとね」


この二人も久し振りの再会だ。

なかなか会えないことを考えると、ここは邪魔をしてはいけないのかもしれない。


「私も・・・そうだったから」


「えっ」


「私も・・・去年の今頃、前の学校を見たくなったから」


「・・・」


「でも、私は見れなかった。だから、桜沢さんには見てほしい・・・それに・・・あなたのため」


水谷さんがこちらを見つめる。

最後のほうは上手く聞こえなかったが、水谷さんがさくらさんを想う気持ちが伝わってきた。


「それじゃ、私はこれで」


「えっ、さくらさんと学校見て歩かないの?」


「それはあなたの役目でしょ。桜沢さん・・・会えて、本当に嬉しかった・・・元気でね」


「私もだよ!百合ちゃん、本当にありがとう」


涙目になりながらさくらさんは水谷さんを見送り、小さく手を振りながら水谷さんはさくらさんに見送られた。
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