我那覇くんの恋と青春物語～桜沢紗希編～

「ねえ？」


車通りの少ない道路の脇に車を寄せて停車し、姫希さんはじっとこちらを見つめてきた。


「あなた、紗希に何を言ったの？まさか、二人で駆け落ちするつもりだったんじゃないでしょうね」


姫希さんの視線に戸惑いながらも、昨日までのことを話した。

なるべく正確に、なるべく全てのことを。



教室で抱き締めたことを話すと、少し驚いたようだった。



しかし、すぐにまた真剣な表情に戻り、一つ一つをしっかりと聞いてくれた。


「話はだいたい分かったわ」


そう言うと、車はまだ走り出した。



誰かに言うことで、少しは楽になれた気がした。

その相手が、さくらさんの姉である姫希さんで良かったのだろうかは分からないが・・・