我那覇くんの恋と青春物語~桜沢紗希編~
「・・・全然、連絡してないんでしょ。さくら、寂しがってたよ」
明るい表情が少し曇ったように見えた。
その後ろでは董院さんがどこか慌てている様子で、それが気のせいではないと思えた。
「ちょっと、海。あなた、そんなこと言わなくても・・・」
「だって、本当のことだもん」
董院さんは一つため息をついて落ち着きを取り戻し、哀れむような表情で海の肩を叩いた。
転校して三ヶ月後の修学旅行で再会し、それからしばらくは連絡を取り合っていた。あらく
しかし、昨年の春、全国高校野球のテレビ中継で、さくらさんの高校が勝利しエースと抱き合っている姿を見て、邪魔をしてはいけないと連絡することをやめた。
「海。これ以上あなたの口から何も言わなくていいわ」
「あっ、すみれ・・・」
海の手を引っ張り、董院さんは自分の席へと戻っていった。
先程までの三人の空気とは、明らかに変わっていた。
「電話・・・しろよ。多分、海ちゃんはそう言いたかったんだよ」
「でも・・・」
「分かってやれよ、海ちゃんの気持ち。董院さんがあんなことするんだ、本当は辛いのに・・・お前のこと思ってくれてるんだよ」
そう言って、雅も自分の席へと戻っていった。
下を向き、舌打ちをする。
それでも、まだ迷っていた。
「おい、一樹。俺はいまいち状況が掴めないが、とにかく後悔だけはすんなよ」
背中を叩いて、コウも自分の席へと戻っていった・・・
明るい表情が少し曇ったように見えた。
その後ろでは董院さんがどこか慌てている様子で、それが気のせいではないと思えた。
「ちょっと、海。あなた、そんなこと言わなくても・・・」
「だって、本当のことだもん」
董院さんは一つため息をついて落ち着きを取り戻し、哀れむような表情で海の肩を叩いた。
転校して三ヶ月後の修学旅行で再会し、それからしばらくは連絡を取り合っていた。あらく
しかし、昨年の春、全国高校野球のテレビ中継で、さくらさんの高校が勝利しエースと抱き合っている姿を見て、邪魔をしてはいけないと連絡することをやめた。
「海。これ以上あなたの口から何も言わなくていいわ」
「あっ、すみれ・・・」
海の手を引っ張り、董院さんは自分の席へと戻っていった。
先程までの三人の空気とは、明らかに変わっていた。
「電話・・・しろよ。多分、海ちゃんはそう言いたかったんだよ」
「でも・・・」
「分かってやれよ、海ちゃんの気持ち。董院さんがあんなことするんだ、本当は辛いのに・・・お前のこと思ってくれてるんだよ」
そう言って、雅も自分の席へと戻っていった。
下を向き、舌打ちをする。
それでも、まだ迷っていた。
「おい、一樹。俺はいまいち状況が掴めないが、とにかく後悔だけはすんなよ」
背中を叩いて、コウも自分の席へと戻っていった・・・