我那覇くんの恋と青春物語~桜沢紗希編~
力を入れていた両手から、一瞬にして力が抜けていく。
開いた口が塞がらない、まさにそんな状態だった。
「私・・・その言葉・・・聞きたくないな・・・今は、まだ・・・」
「・・・」
「だって、その言葉を聞いちゃったら、今から話さなきゃいけないこと・・・話せなくなっちゃう」
「どういうこと?」
こちらが前かがみになったのを避けるようにして彼女は顔をそらし、目を閉じて口元に手を当てた。
大きく深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。
彼女にとって・・・いや、二人にとって、それは言いづらいことなのだろう。
しかし、今は彼女の話を聞くしかない。
「あのね・・・私、こっちの大学・・・来れなくなっちゃった」
心の中では、かなり動揺している。
しかし、それを彼女に見せてはいけないと思い、必死で冷静さを保つ。
「実はね、昨日、電話したとき・・・お父さんと喧嘩しちゃって・・・私って、馬鹿だよね。嘘ついてあなたと会おうとしてたの、それがばれちゃって・・・」
「・・・そうなんだ」
「お父さん、もう勝手にしろって。私・・・どうしたらいいの・・・」
彼女は口元に当てていた手を目に移した。
それでも留め切れない涙が溢れ、頬を流れていく。
泣いている・・・
それは、彼女が初めて見せる、はっきりした泣いている姿だ。
どうにかしてあげたい。
しかし、好きという気持ちだけでは、どうしても越えられない壁が目の前にある。
開いた口が塞がらない、まさにそんな状態だった。
「私・・・その言葉・・・聞きたくないな・・・今は、まだ・・・」
「・・・」
「だって、その言葉を聞いちゃったら、今から話さなきゃいけないこと・・・話せなくなっちゃう」
「どういうこと?」
こちらが前かがみになったのを避けるようにして彼女は顔をそらし、目を閉じて口元に手を当てた。
大きく深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。
彼女にとって・・・いや、二人にとって、それは言いづらいことなのだろう。
しかし、今は彼女の話を聞くしかない。
「あのね・・・私、こっちの大学・・・来れなくなっちゃった」
心の中では、かなり動揺している。
しかし、それを彼女に見せてはいけないと思い、必死で冷静さを保つ。
「実はね、昨日、電話したとき・・・お父さんと喧嘩しちゃって・・・私って、馬鹿だよね。嘘ついてあなたと会おうとしてたの、それがばれちゃって・・・」
「・・・そうなんだ」
「お父さん、もう勝手にしろって。私・・・どうしたらいいの・・・」
彼女は口元に当てていた手を目に移した。
それでも留め切れない涙が溢れ、頬を流れていく。
泣いている・・・
それは、彼女が初めて見せる、はっきりした泣いている姿だ。
どうにかしてあげたい。
しかし、好きという気持ちだけでは、どうしても越えられない壁が目の前にある。