我那覇くんの恋と青春物語~桜沢紗希編~
心の距離
あの日から、さくらさんからの電話はない。
ただひたすら彼女の電話を待つこと以外、どうすることもできないまま卒業式の前日になっていた。
あのとき・・・
自分のなかで、答えは出ていた。
覚悟も決めていた。
それなのに、結局どうすることもできなかった。
自分の無力さを見せつけられ、そのことが無性に腹立たしかった。
本当に自分には何もできないのか。
一日が自問自答の繰り返し・・・
「俺たち・・・もう駄目なのかな」
最後には、そう呟いて下を向いた。
「あっ、思ったよりも早かったのね」
正門を出たところで、聞き覚えのある声に立ち止まる。
言葉はこちらに向いているようだったので、視線を前に移す。
「乗っていく?」
姫希さんは指で車の鍵を回し、笑顔でこちらを向いていた。
「ありがとうございます」と軽く会釈し、今度は自分で助手席のドアを開けて入った。
ただひたすら彼女の電話を待つこと以外、どうすることもできないまま卒業式の前日になっていた。
あのとき・・・
自分のなかで、答えは出ていた。
覚悟も決めていた。
それなのに、結局どうすることもできなかった。
自分の無力さを見せつけられ、そのことが無性に腹立たしかった。
本当に自分には何もできないのか。
一日が自問自答の繰り返し・・・
「俺たち・・・もう駄目なのかな」
最後には、そう呟いて下を向いた。
「あっ、思ったよりも早かったのね」
正門を出たところで、聞き覚えのある声に立ち止まる。
言葉はこちらに向いているようだったので、視線を前に移す。
「乗っていく?」
姫希さんは指で車の鍵を回し、笑顔でこちらを向いていた。
「ありがとうございます」と軽く会釈し、今度は自分で助手席のドアを開けて入った。