我那覇くんの恋と青春物語~桜沢紗希編~
以前に指示した道とは違い、今日はなるべく車通りの少ない道を選んでいるようだった。
「電話・・・かかってこないの?」
「・・・はい」
「そっか・・・まあ、無理もないか」
あの日の別れ際のさくらさんの表情を思い出す。
涙目なのに精一杯の笑顔を作り、目の前から去っていった。
両手の拳に力が入る。
さくらさんにあんな表情をさせてしまった自分が、たまらなく情けなかった。
「お父さん、厳しい人だからなあ・・・私も小さい頃は、よく怒られたっけ」
何かを思い出して優しく笑う、その横顔がさくらさんと重なって見える。
当たり前のことだが、二人はやはり姉妹なのだと実感した。
「そうなんですか。あの・・・どうして、俺なんかに会いにきたんですか?」
「あっ、別に用事があるわけじゃないんだけど、ちょっと気になったから」
「俺のことが・・・ですか?」
「まあ、あなたのことというよりは、あなたと紗希、二人のことがね・・・私にも責任がないことも無いわけだし、一所懸命なあなたたちを見てたら、なんとか応援してあげられないかなって」
信号が変わり、止まっていた車は右へと曲がった。
家の方向に背を向けたが、姫希さんは何事もないように運転を続ける。
その表情は知っていてこの道を選んだようで、姫希さんに道はこのまま任せることにした。
「電話・・・かかってこないの?」
「・・・はい」
「そっか・・・まあ、無理もないか」
あの日の別れ際のさくらさんの表情を思い出す。
涙目なのに精一杯の笑顔を作り、目の前から去っていった。
両手の拳に力が入る。
さくらさんにあんな表情をさせてしまった自分が、たまらなく情けなかった。
「お父さん、厳しい人だからなあ・・・私も小さい頃は、よく怒られたっけ」
何かを思い出して優しく笑う、その横顔がさくらさんと重なって見える。
当たり前のことだが、二人はやはり姉妹なのだと実感した。
「そうなんですか。あの・・・どうして、俺なんかに会いにきたんですか?」
「あっ、別に用事があるわけじゃないんだけど、ちょっと気になったから」
「俺のことが・・・ですか?」
「まあ、あなたのことというよりは、あなたと紗希、二人のことがね・・・私にも責任がないことも無いわけだし、一所懸命なあなたたちを見てたら、なんとか応援してあげられないかなって」
信号が変わり、止まっていた車は右へと曲がった。
家の方向に背を向けたが、姫希さんは何事もないように運転を続ける。
その表情は知っていてこの道を選んだようで、姫希さんに道はこのまま任せることにした。