愛の行方
「簡単に死のうとするな‼‼」
両手で肩をしっかりと掴んで怒鳴った。
そんなレナルドを見て、カテリーナは涙で顔を濡らした。

「自分の愛するものが全て奪われたのよ。この気持ち、あなたには理解できないでしょ‼‼」
「全てではないが、俺も愛するものを失ってる。」
「え……?」
「俺の母さん、お前と同じように、敗戦国の王女だった。ソレイユに来て、父さんとの間に生まれたのが俺だ。」
レナルドは、カテリーナの目を見ず、慎重に語った。
「母さんと父さんは、その後、結婚した。だが、二人の間に愛なんてものはなかった。そして俺は15歳になった頃、この事実を知り、母さんを馬鹿にするような態度をとるようになってしまった。……ある日突然、母さんは自分の部屋でひっそりと自らの命をたった。部屋に残された日記の最後のページには、『私は誰にも愛されていない』と書かれていた。」
「……あなたは、そのお母さまのことを愛していたの?」
「当たり前だ。口にはしなかったがな。」

突然、レナルドは服を着た。
「今日のところはこれくらいでいい。」
その一言を残して部屋をあとにした。













< 6 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop