マーメイドの私と王子さま
「…」

「ふぅ…だんまりを決め込むのは止めてくださいシャルル王女。私のことを知らないわけではないでしょう?」

小さくため息をついた男は私に優しく微笑みかけると自分のことを知っているだろうと聞いてきた。もちろん、

「…知らないわ、あなたのこと」

そう、お城の中で蝶よ花よと育てられてきた私は、滅多なことがない限りお城からは出たことがない。それに、早くここから出ていきたいのに男のせいで足止めをくらっているのだから、よそ行きの淑女のような態度をとることもしない。

「!僕のことを知らないと…ふっ、そうですか、僕はあなたのことを知っていますけどね」
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