最初から2番目の初恋。
夢と現実と記憶
目が覚めると窓から大量の日射しが刺していた。
「はるちゃんーご飯できたわよー」
1階からお袋が呼んでいる事に気付き、薄く開いた目を擦りながら階段をゆっくり降りていく。
『おはようございます。11月16日木曜日。今日のお天気アナウンサーは___』
リビングのドアを開けると、親父が新聞を読みながらテレビの前に座っていた。
「おはよっ、ご飯テーブルに置いてあるわよ。早く食べて学校行きなさい」
「おう」
お袋の言葉に適当に返事をする。
いつもどうりに用意を終え玄関で靴を履いていると親父が急に話しかけてきた。
「おい颯斗、最近勉強はどうだ。お前も来年は受験生なんだ、そろそろ先のことを考えてだな」
「わかってっから。大丈夫、ちゃんと考えてるよ。じゃあなっ」
そう言って親父の話を無理やり終わらせ外に飛び出た。
なんだよ、いつも俺なんかに構わねー癖して、
ああそうか、今日は雨でも降るのか?
親父が久しぶりに話しかけてきた事により、今日は雨が降ると確信して、俺はわざと傘を持たずに家を出た。
今日雨が降るならばおそらく千夏が傘を持ってくるだろうから。
前回はお互い忘れてしまい相合傘し損ねたけど、今回こそは相合傘できるぞ!
そう意気込んで上を見上げてみると、空には雲一つ無い青空が広がっていた。
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俺、少しおかしいのかも知れない。
同じ制服を着た人混みの中を歩きながらそう思った。
さっき青空を見たのに、どうしても今日は雨が降る気がしてならなかったのだ。
天気予報はどーだったんだろうか。
朝飯を食べている時に、聞こうとはしてないが、確かに耳にはしたはずなんだけど、なんて思いながら歩き続けていた。
「颯斗ー!!!」
自分で自分の考えが分からないでいると、背後から聞き覚えのある声で声をかけられた。
ビックリしながら振り返ると、走ってきた人物の手に持っていた物を見てさらに驚かされた。
「お前、こんな晴れてるのに、なんで傘なんか持ってきてんだ?」
驚きを隠せずに聞いてみると、千夏は照れるようにして答えた。
「今日、雨降る予感がしたから...。それに、天気予報には曇マーク付いてたし
」
まさか千夏も雨が降るって思っててたなんて。
あれだ、心のシンクロ?
「天気予報なんかより、自分の見た景色の方が信じれるじゃん!」
本当は「俺も同じこと思った!」なんて伝えたかったけど、相合傘目当てで傘を持ってこなかった事に気づかれたくなかったからその言葉は伏せておいた。
俺の言葉に千夏はうーーっんと悩む様にして下を向いてしまった。
そのまま歩き続けて下駄箱まで来ると、千夏が鞄をゴソゴソとあさり出した。
なにしてんだ?なんて思いながら見ていると、鞄から思わぬものが出され思わず声を出して驚きそうになってしまった。
「じゃあ、今日雨降ったって傘貸してあげなーいっ」
口をふくらませるようにして見せてきたものは、俺にとって一番の邪魔者でしかなかった。
ひどく驚かされたが、俺は負けじと雨は降らない宣言をして教室に逃げるように走った。
なんだよ、これじゃあまた相合傘出来ねーじゃん。
思わぬ展開にガッカリしながら机に鞄を置いて空を見た。
まあ、雨が降ったらの話だけどっ