最初から2番目の初恋。

6時間目の授業が終わろうとしている頃、一番窓際の席の私は、ボーッと外を見つめていた。



雨は降っていない。


曇った空を見つめていると何だか思い気分になってしまう。



はぁ、まあただの直感だったし、天気予報でも曇りって言ってたけど、


なんだか少し恥ずかしい気持ちになる。


そんな事を考えている内に授業の終を告げるチャイムが鳴り出す。


何だか裏切られた気分で号令を済ませると、少し早めに終わったのか、颯斗が3組みの廊下の前まで来ていた。



小走りしながら颯斗に駆け寄ると、ポイッと手紙を渡されると、颯斗は自分の教室へと走り去っていった。


開いてみると、
[やっぱり雨なんて振らなかったな?今度何か奢れよ!]

と不格好な顔文字まで書かれた文があった。


悔しい思いでいっぱいになっていると突然、トンッ、トンッ、と窓から誰かが叩いてくる音がした。


ふと振り向いてみると、窓の外には降り始めたばかりと思われる雨が降っていた。



嘘!当たっちゃった...



内心驚きながら、心の底から喜んだ、



この日、私は初めて雨に止んで欲しくないと願った。

いや...、初めてじゃないかっ。



~~~~~~~~~~~~~~~



帰りの会が終って、日直の仕事の日誌を付け職員室に寄り、少し遅くなってから下駄箱へ向うと、そこには見覚えのありすぎる人物の背中があった。



「颯斗?なにしてるの、もうみんな帰ったよ?」


不思議そうに言うと、颯斗はゆっくりと振り返り満遍の笑みを浮かべた。


「傘、入れてもらうから待ってたっ」



頭をかきながらいうが、何処か堂々とした口調の颯斗に、千夏は少し呆れたような態度で話しかけた



「全く、朝はあんなにいきがってたのに、ころりと変わっちゃうんだからっ」


そう言うと、靴を履き替えながら鞄から傘を取り出し颯斗に渡す。


すると、


「は?いいよ折りたたみなんかっ、お前の入るから」



当たり前の様に言う颯斗に千夏は驚いたように応えた


「え?ああ、って!可笑しいでしょ!そんな所遠慮しなくていいよ!元々颯斗の為に持ってきたんだよ?」


動揺しながら颯斗に折りたたみ傘を渡す、すると急に、私の差し出していた腕を引いて颯斗の胸にへと引き寄せられた。



「いいじゃん、減るもんじゃねーんだし、たまにはこうゆうのも悪くはねーんじゃね?」



そう言って私の手から傘を取ると、バサッ!!と開いて2人で駅へと歩き始める。



...。




颯斗と以上な位密着している。


こんな事を言うのもあれだが、私と颯斗は4年近く付き合っているのに、まだキスまでしかしたこのがなく。正直こうゆうのに私は全く慣れていない。


颯斗と付き合うまでは、ある事情で男性恐怖症だった私。だから男子と上手く目を合わせて話したことすらなかったのに...




心臓の音が伝わってしまいそうで少し離れようとすると、



グイッ

「あんま離れると濡れるからくっ付いてろよ。」



と言って余計に密着させられてしまう。



うう、恥ずかしい。今の状況も、こうゆう事に慣れていない自分にも、色々恥ずかしくてダメだ...。





そんなこんなで駅に着き屋根のある所に入った。


傘を閉じ、すると自然にお互いの距離が開く。


ふぅ〜〜、っと緊張していた体の力が一気に抜けるのが分かった。



「なに、そんなに恥ずかしかったのかよ?」


ニヤニヤしながら颯斗が私の顔を覗いてきた。



気づいてたのかよ!って今思う。



「もお、やめてよっ、どうせわざとでしょ?」



少し怒り気味に颯斗に向かって言ってみた。それでも颯斗は動じずに、




「当たり前だろっ?いや~、凄い面白かったからっ」


と笑いながら傘の水を㌧㌧っと取っていた、



人をおもちゃのように...なんて思いながら再び折りたたみ傘を鞄から取り出して颯斗に差し出す。



「はい、電車違うんだからもう相合傘出来ないでしょっ」



そう言って颯斗に指し出すと、きょとんとした顔でこっちを見てきた。



「ん?だからいいって、俺ん家駅から近いしっ」



「だめー、そんな近くないじゃんっ、はいっ、受け取った受け取った〜。」



そう言って颯斗に無理やり折りたたみ傘を押し付けると、返されないように急いで駅の改札をくぐった


「じゃあ!気おつけてねー!」


「ったく、ありがとなっ?」


申し訳無さそうな顔をする颯斗にどういたしましてっ!と返すと、ホームへと続く階段を駆け下りた。



既に電車は来ていて、急いで飛び乗った、


まだそんなに遅くない時間帯にも関わらず、車内は少し窮屈だった。
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