春の栞 〜また君に恋する
「お、覚えてるよっ。この前うちに来てたじゃない」
この人、ゆうくんこと秋沢結羽くんは
会うのは1か月ぶりくらいだけど、ちゃんと話すのは…えっと、小学校6年生のお正月ぶりだから、6年ぶりくらいかな…
「そうだっけ?いつもしいなちゃんには会わないからなぁ。啓(けい)の部屋に行ったら基本出ないし、何か久しぶりだね」
ゆうくんがつり革に両手をかけて、こっちを除き混む。もうそろそろ暖かい春なのに、青いトレンチコートを着てる。
啓は私のお兄ちゃんで、ゆうくんとは幼馴染みですごく仲が良い。
お兄ちゃんは変わってるから、お兄ちゃんと仲が良いってスゴいこと。まぁそれだけ、ゆうくんが優しいんだけど…
「しいなちゃん、緊張してる?」