春の栞 〜また君に恋する

「えっ?!えっと…ううん、久しぶりでびっくりしちゃったの。こんなところで会うって思ってなくて」


というか緊張してないわけないじゃない!
心の中で叫ぶ。貴方は初恋の人で好きな人なんだから…!って、言えるわけないけど。

もちろん、ゆうくんの入学した大学に私の高校があるってことくらいリサーチ済みだ。今日が最初の授業日ってことも。

「ああ、そうなんだ…俺、ちょっと緊張してる」

あ…。
恥ずかしそうに言うから、ちょっとドキッとしてしまった。チラッと横目で隣を仰ぐと、彼と目が合う。視線に気づいてゆうくんが、ほんのり赤い顔で照れたように言った。

「しいなちゃんさ…綺麗になったね。」

その一言で、私の思考が一度立ち往生した。
綺麗になったね…?
社交辞令かしら…

「何か、普通に女の子に見える。あはは、俺もここで会うとは思ってなくて。緊張しちゃったなぁ」

どうゆうこと?
私が困惑していると、ゆうくんが一瞬考えるように目を泳がせてから弾かれたように慌て始める。

「うわぁぁ、べつに今まで可愛くないとか言ってるんじゃないよ。元々美人さんだし!宮田家は美人だよね、うん。何かごめん…」

焦ったように繕う様子をみる限り、冗談で言っていたのではないみたい。そうじゃなくて!
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