春の栞 〜また君に恋する
「あはは、だよね…」
参ったな~と言って頭をかく。
「それに、ゆうくんは年上の人が合うイメージ!」
「そうかな?特に好みが決まってる訳じゃないんだけどな…何で?」
「中学3年生の時も、年上の先輩と付き合ってたでしょ?だからそうなのかなって…」
ああ、どうしてこんなことを…
私は自分が恋愛対象になれるっていう可能性を、全力で消したいらしい。チャンスをものにできないタイプなんだ
「よく知ってるね!啓に聞いたの?あんまり人に言ってないのに。なんかね、高校で好きな人できたって、言われてさ~」
「あ、うん…あと一緒にいるところ見たから、そうかなって。お兄ちゃんの試合観に行ったときも来てたよねっ」
知りたい。知りたくない。
こんな話はしたくなかった。その女の人にあって私にないものって何?私じゃダメ?何で別れたの?
諦めの悪い私が、ゆうくんの情報を聞き出そうとする。ずっと話せなかった時間を埋めようと…