僕から、キミへ~anotherstory~
「ハルナ!大人しくしていなさい、悪化するわよ!?」
「やだ!カイくんの近くにいたい!」
「隣のベッドでしょう、大人しくしてなさい!」
「傍にいたい、傍にいたい!」
お母さんの言葉なんて耳に入らなかった。
あたしは必死に立ち上がろうとした。
だけど痛みが邪魔をして立ち上がれない。
傍に行きたい気持ちはこんなにも強いのに…。
「きゃあ!ハルナ!!」
あたしはとうとう床に崩れ落ちた。
鈍い痛みが足だけでなく全身を襲う。
1歩踏み出せば近くに行ける近い距離なのに。
行けないもどかしさが憎くて悔しい。
「どうかされましたか?」
お母さんの悲鳴を聞いた医者がはいってくる。
その顔に見覚えがあった。
「先生……」
「ハルナちゃん、大人しくしていないと駄目だろう」
入ってきた先生は、
前回もあたしの先生だった人だった。