僕から、キミへ~anotherstory~
あたしは腕を伸ばして先生の白衣を掴んだ。
「先生!カイくんは――」
「カイくんは大丈夫だから。
さぁ、ハルナちゃんはベッドに戻るよ。
抱き上げるからね」
「やだっ!」
「ハルナちゃん?」
出された手を振り払う。
パンッと乾いた音がした。
「ハルナ!何しているの。
申し訳ありません、先生――」
「先生!
あたし、カイくんの傍に行きたい」
「もう十分傍だろう」
「もっと近くにいたい。
手を握っていたいよぉ…傍にいたいのぉ…!」
あたしはその場で泣きじゃくった。
言うことの聞かない足をペッタリ床につけ、わんわん泣いた。
「カイくんっ……!!」
大好き、大好き。
大好きだよ、カイくん――。