僕から、キミへ~anotherstory~
「……あっ」
カネっちとリナさんを見送っていると。
ハルナさんが手のひらを上に向け、笑った。
…本当、可愛らしくて、守ってあげたくなる笑顔だ。
「雪だよカイ」
「本当だ……」
「早めに病院戻ろう?
カイくん風邪引いちゃったらマズイでしょ?」
「そうだね。――その前に」
僕は車椅子に座るハルナさんと目線を合わせ。
その唇を自分ので塞いだ。
離して見ると、ハルナは真っ赤になっていた。
「その笑顔…僕がずっと、守っていくから」
「うん…。
傍に居てね、カイ」
僕はそっと、車椅子を病院へ向けて押し出す。
「最高のクリスマスプレゼントだよ、カイ」
「お返しだよ、ハルナ。
マフラー、本当にありがとう」
「ニャア~ン」
猫の鳴き声が、聞こえた。
「あっ!
チャーミィが迎えに来てる!」
「本当だ。
チャーミィ、一緒に行こうか」
「ニャア~」
ピョコンと膝の上に乗った、
灰色の毛が可愛い小さな仔猫。
首のついた鈴が、
チリンッ……と鳴った。
【END】