恋色桜
1年間会えなかったお姉ちゃんと再会して、かっこいい人も見つけて…なんかいいことが起こる予感がしたのに。
「…ここどこ?」
何故かまた中庭にいる私。今は、移動教室で間もなくチャイムが鳴る。そう、また迷ってる私。”移動教室は、体育館の隣りの校舎にあります”その体育館にさえ着かない。
「ここ中庭だから…えっと、どっち?」
体育館に行く道は、昨日先輩と通ったはず。しかし、なぜか景色が違う。完全に迷子だ。
「おい。」
びくっとして振り向くと、木の陰に人がいる。誰?
「さっきからうるさいんだけど…。寝れねーじゃん。」
眠たそうにこっちを睨みつけ、その人は近づいてくる。
「えっと…移動教室ってどっちですか?」
少し上目づかいでびくびくしながら言う私。
すると、
「あんた新入生だろ。まだ全部覚えてないわけ?」
そう言ってその人は、爆笑した。
「なっ!だって、ここ広すぎるの。」
「てかさ、その地図逆だろ?」
その人の言うとおり、地図は逆になっている。こんなの絶対迷う。
「そんなんじゃ一生着かないだろ。しゃあないし、連れてってやる!」
グイッと強引に腕をつかまれ、そのまま私はその人に連れて行かれた。




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