恋色桜
授業中もずっと気になるのは、なぜか隣に座る失礼な人。名前なんだっけ?
「結城翔也(ゆうきしょうや))。」
「へ?」
聞いてないのに隣は答える。入学式のとき女子に騒がれてた”結城”がこの人か…。
「どうせ名前なんて覚えてないだろ?」
さっき会ったばっかりなのに知ってるわけない。
「結城翔也ね?覚えとく。で、その結城君はなんでここに座ってるの?」
結城の方は見ずに黒板を写しながら話す。さっきから女子の視線が痛い。
「いや~、誰かさんが迷子にならないか心配で。」
誰かさんて誰よ…。もういいや無視しよ。
「あ、無視?てか、入学式のとき冬賀と一緒にいなかった?」
冬賀先輩も呼び捨てなんだ…。何となくキレそう。
「いたけど何?体育館に案内してもらっただけだよ。」
「へ~。まぁいいんだけど。あ、俺も名前知らない!なんて言うの?」
人のこと言えないけど、自分も覚えてないじゃん!
「藍川美咲(あいかわみさき)。」
「え、藍川?」
名前を言った瞬間、結城はなぜかすごく驚いて聞き返してきた。別に変な名前じゃないと思うけどなぁ…。少しの間、2人とも黙り込んでしまった。



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