桜の妖精に恋

新人戦

木陰『ふざけんな!』

グランドから木陰の怒鳴る声が聞こえてきた、俺はチェリーと屋上で昼寝をしていた。要はバスケの県大会に向けての練習で翼と木陰はサッカーの試合の練習で最近の昼休みはひとりでいることが多くなった。
チェリーに起こされて、起きた俺は寝ぼけながらグランドに向かった。
途中に百合野に話しかけられて、家庭科で作ったマドレーヌを渡された。甘いものが苦手って言おうとしたら、木陰に聞いて甘さ控えめに作ったと言った。

百合野『ど、どうかなぁ…?』

「美味いじゃん(^^)俺好みだわ( ̄∀ ̄)」

百合野『ほ、ホント!?嬉しい(*´∇`*)』

再びグランドに行こうとすると、百合野も行くと言い出して一緒に行くことになった。
グランドに着くとそこは修羅場になっていた。

翼『木陰が何て言おうと、変える気はない!しっかりメニューをこなすことができなければ本格的な練習はさせないよ!』

木陰『てめぇ!いい加減にしろよ!そんなに俺を貶して楽しいか?お前が俺をサッカー部誘ってきたから入ってやったのに、ずっと、ランニングとストレッチばっかりやらせやがって!!』

木陰は翼に誘われてサッカー部に入ったが、全然まともな練習をさせてもらえず、ランニングとかサッカーとは関係なさそうなことばかりやらされて、今日、我慢出来ずに爆発したらしい。木陰は翼に殴りかかろうとしたので、思わず止めてしまった。

「木陰、殴っても何も変わるわけじゃないしお前が悪くなるだけだぞ」

木陰『…ちっ…。もう、俺は限界だ!やっぱりサッカー部はやめる。』

木陰はその日からサッカー部には顔を出さなくなった。そして1週間後、俺はジャックを買いに近くのコンビニに行った帰りに中学のグランドから聞き覚えのある声が聞こえて見てみると、木陰が楽しそうにサッカーをやっている。木陰は元サッカー部で3年の大会で県大会ベスト4まで勝ち進んだ実績がある。

木陰『おー!笹島、ナイッシュー(^^)!』

笹島『あざっす!やっぱり、影山先輩いると安心してプレイができるんすよねー。』

木陰『そうだろそうだろ、俺はみんなの人気者だからな!』

笹島『あはは…(¬∀¬;)』

木陰『よしっ!俺も参戦すっかなー!』

笹島『そういえば、影山先輩はまたサッカー部に入ることにしたって言ってましたけど、練習はないんですか?』

木陰『…。や、やっぱりサッカー部には入らないことにしたんだよ。』

笹島『まじっすか?!あんなに嬉しいそうに入るの楽しみにしてたじゃないですか。それに勿体ないですよ!影山先輩、めっちゃサッカー上手いのに!』

木陰『……。』

笹島『先輩??』

木陰『な、なんでもねぇ!俺はお前らが今年こそ全国にいければそれでいいんだよ!』

木陰はどこか辛そうな表情をしていた。ボールが俺の方に飛んできて、木陰がボールを取りに来た。

木陰『ありがとごさ…。よ、陽太…。』

「どうも。何でここでサッカーやってんの? みんな待ってんじゃない?」

木陰は誰も待ってないと言って戻ろとしたが、俺は引き留めた。

「本当に翼がお前に嫌がらせしてるとおもってるのか?」

木陰『お前には関係ないだろ!』

「そうだな。でも、翼は嫌がらせするようなことは絶対にしないし、俺と違って自分よりも相手を考えるやつってお前は知ってると思ったんだけどな。」

俺は帰ろうと歩き出した時

木陰『そんなの知ってる。俺が持久力がないって思っていることも。でも、1番悔しいのは俺に気を遣って俺に思ったことを言わないことだ。ずっと憧れてた奴が、お前の双子の兄貴でサッカー部に誘ってくれて一緒にプレイすることができる。俺は翼の右腕になりたかったんだ。』

木陰の本音聞いて俺は、中学の時に木陰が翼の話をしていたことを思い出した。木陰は大会で翼のプレイに魅かれて、翼を目指して頑張っていた。

「そうか。だったら、信用されるまでとことんサッカーのプレイでぶつかればいい。」

俺はボールを木陰に渡して家に帰った。

チェリー『陽太、お帰り( ^∀^)』

「ただいま。」

チェリー『陽太。』

「チェリーどうした?」

チェリー『何かあったの?』

チェリーは俺の心を見透かしたように問いかけてきた。俺はチェリーに木陰の思いをはなした。

「だから、本当はサッカーが好きで憧れてた翼に誘ってもらえて嬉しかったんだと思う。」
チェリー『陽太、これ食べてみて!』

「は?クッキー?俺は甘いのは嫌いって知ってんだろ!いきなりなんだ」

チェリー『大丈夫。甘さ控え目だから元気でるよ!』

チェリーに無理やりクッキーを食べさせられた。クッキーは甘さ控え目で桜のクッキーだった。桜のクッキーを食べたら少し疲れが取れてホッとした気分になった。 気付いたら全部食べてしまっていた。

チェリー『美味しいでしょ!?』

「あぁ。まぁ、2人の問題だし俺には関係ないか。」

チェリー『翼くんなら大丈夫だよ。翼くんはしっかり者だからね!』

「でも、アイツは以外に不器用だし。」

チェリー『大丈夫!!だって翼くんは陽太のお兄ちゃんだもん。』

チェリーは優しい表情していた。俺は胸がチクチクした。俺は翼に惚れたかとからかったら、チェリーは翼が好きだと答えてきた。更に俺は言葉が出ずにいた。

数日後、木陰とサッカー部員を屋上に俺の教室に集めた。

木陰『おい、俺はサッカー部員じゃねぇから関係ないだろ。俺は自分のクラスにー。』

翼『退部届は俺が預かってるから、まだお前はサッカー部員だから関係あるんだ。』

部員『でも、この教室じゃなくてもいいんじゃ…。』

翼は俺にも聞いてほしいからと言って、説明を始めた。その内容は、翼が前に通ってた高校と合同練習&試合をやるとの事だった。部員と木陰は驚きの顔をしていた。

木陰『ちょ、ちょっと待てよ!!虹ケ咲学園って言ったら、超強豪じゃねぇかよ!ここのレベルとじゃ比べものにならない。』

部員『そんな相手と俺らが戦っても、結果は見えてるって!』

翼『そうかもね。でも、今度の地区予選を勝ち進むにはこれはいいチャンスだと思う。』

部員『そうだけど、相手が不満なんじゃないか?』

翼『大丈夫。虹ケ咲のサッカー部からの提案だから。』

翼は何かを決心している顔で、みんなに合同練習試合の説明をしていた。

翼『それで、1つ話さないといけないことがあるんだ。』

部員『なんかあるのか?負けたらペナルティーか?!やめろよなぁ〜お前のペナルティは怖い(*´Д`*)』

翼『あ、それ採用!』

部員2『お前、余計なこと言うな!(^◇^;)』

翼『虹ヶ咲から1点も決められない場合には、俺は虹ヶ咲に戻る約束をしちゃって…。』

木陰・陽太・部員『「は?」』

「ごめん。今、なんて言った?」

翼『1点相手から得点を取らなければ、俺は虹ヶ咲に戻れっと条件をだされた。簡単に言えば、賭け引きってやつですな。』

木陰『はぁぁぁ!!?何、無謀な賭けしてんだよ!お前、バカじゃねぇの!?』

翼『俺は本気でここのチームで全国を目指したいんだ。もし、簡単な気持ちでいるなら俺は元の学校に戻る。』

翼は真剣な表情で木陰たちに、気持ちを全力で伝えた。木陰たちはそんな翼をみて何も声が出ず沈黙が続いた。

「な、何勝手に決めてんだよ。また、俺と別々に暮らすつもりか?」

翼『陽太には悪いが、俺は将来サッカー選手経験していずれは監督として選手を育ててみたいんだ。だから、中途半端な頑張りはしたくない。』

翼はもう自分が将来なりたいものを目指して行動へと動いていた。俺はまだ将来のこと何て考えたことなかったのに、チェリーが言っていたことを思い出す。

何も言い返せなくなった俺たちに、翼は考えておいてくれと言って解散した。木陰は辛そうな表情をして教室から出て行った。



そしてその夜、俺は飲み物を飲んで台所に部屋に戻る途中、翼の部屋から明かりが見えた。のぞいてみると、部屋に翼はいなかった。多分、トイレに行ったのだろう。俺は翼の部屋に入り机の上にある大量のノートを見た。


「な、何だこのノート…も、もしや…これって!!」




つづく…。
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