ロールキャベツは好きですか?

side:祈梨


「渡邊主任!すみません。実はですね。私、今月一杯で退職します」

後輩であり、私のアシスタントである、佐藤さんは会議室に入るなり、いきなりそう言って頭を下げた。

「……退職?」

「はい。退職します」

「今月で。退職」

「はい」

相手の言葉を反芻するのは、驚いたときにやる私の癖だ。

顔を上げた彼女は、強く頷いた。彼女の中では、もうすでに固く心に決めたことらしい。
< 1 / 210 >

この作品をシェア

pagetop