ロールキャベツは好きですか?

「……むしろ、そうやって、浮気に対して怒れるほど、誰かを愛してきたあなたが羨ましい」

今まで関係を持った人のことを思い浮かべた。

付き合いながら、ああこの人好きだ、と漠然と思った人もいた。
付き合ってみて、ああこの人とは合わないと思った人がいた。

4年前。双山部長がアメリカに発ってから、私は結構、荒れた。
身も蓋もなく言うならば、男の人をとっかえひっかえした。

とりあえずその関係に終止符が打てたのは、忍のおかげだ。
忍とは同期でもともとのライバル意識が強かったけれど、仕事の話をすれば話は合うし、今更変に気負う必要もない仲だった。

だから、あいつといるのは楽しかったし、疲れなかった。
そのおかげで3年も続いたのだ。

だけど、あいつの浮気がなかったとしても、私はそのうち別れていたんだろう。

あいつとの未来は見えなかった。
忍とともに未来を歩くことになったら、きっと私は、申し訳無さいっぱいになってだろうから。

そしてきっと、その申し訳なさは、田島くんにも充分健在してたりする。
< 115 / 210 >

この作品をシェア

pagetop