ロールキャベツは好きですか?

「求められたのは、一度だけじゃなくて、その度に私も応えた。
そのあとで、私、何度も勇気を振り絞って告白したの。

……でも取り合ってもらえなかった。いつも、聞かなかったことにされるの」

「……最低ですね。双山部長って」

「……本当に最低な男よね。でも、それでも、好きだった」

届かない片想い。
身体は重ねるのに、心は重ねられない寂しさ。

どれだけ傷ついても、主任は彼を好きだという。

恋は理論じゃないから。
きっと主任が部長に恋したことは、俺には説明できないし、きっと主任自身もできないにちがいない。

「……想いに答えてもらえないまま、彼はアメリカに行ったんですね」

「そう。せめて、キッパリ断ってくれたなら、諦めもついたし、気持ちに整理もつけれたのに……」

「それで主任は、夢の中でさえ、部長を追い求めて……今も泣いてしまうということか」

俺の言葉に、主任がきょとんと首を傾げた。
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