ロールキャベツは好きですか?

「そんなの訊くまでもない質問です」

「じゃあ、このまま、抱いてって言ったら?」

彼女の言葉に、俺は息を呑んだ。

「……いいんですか?」

「……いい」

俺はそのまま、体重を前にかけた。

どこかでぶつけないように、主任の頭に手を置いて守りながら。
二人の身体はソファに倒れる。

「祈梨さんって呼んでもいいですか?二人のときは」

「じゃあ田島くんは、祥吾くんって呼ぶね」

瞳をとじて、唇を重ねる。

以前、重ねた時とは違う。
あの時より、もっと深く、もっと激しく。

━━━好きです。主任。誰よりも。

いきなりの激しいキスに最初は戸惑い固まっていた主任だけど、しばらくすると、俺の首に腕を回してくれた。

舌先で唇を突付けば、いとも簡単に招き入れてもらえた。

一度目も抵抗はしなかった。
でも今は自ら求めようとしてくれている。

「……祈梨さんが、ほしい」

「……私、も」

━━━出会って、一目惚れをした日から3年半。

長い片想いが実を結んだ夜。
彼女が俺の腕の中で眠りに落ちるまで、俺は、何度も何度も、彼女を愛した。
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