ロールキャベツは好きですか?
♢
side:祈梨
カーテンの隙間から差し込む日差しに瞼をうっすらと開けた。
まだまだ覚醒はしていなかったが、いつもの朝とは違う感覚に、ハッとした。
そうか……昨晩は……。
違和感の原因が、彼の━━━祥吾くんの温もりだと気づいて、私は微笑んだ。
背後からしっかりと抱きしめられている腕にそっと手を重ねる。
耳元に聞こえる息遣いは寝息のようだから、きっと彼はまだ夢の中だ。
彼の安眠を邪魔しないように、私は意外と太い腕の中でじっとしていた。
そんな時間がたまらなく幸せで、私は涙をこぼしそうになった。