ロールキャベツは好きですか?

「松谷がのろけちゃってるよぉ」

「強引課長がね、あんな顔するなんて」

私たちの話に他の同僚も加わってくる。

「まさか松谷に結婚越されるとは思わなかった~!!」

すでにテンションが上がっている同僚の一人、伊丹(いたみ)が、忍の首に腕を巻きつける。
忍は苦笑しながら、その腕を解こうとする。

しかし独身男性(しかも酒入り)はしつこい。

「佐藤さん、どうやって落としたんだよ!?俺にもその技教えろ!」

「技なんてねーよ」

「じゃあ、せめて、可愛い女の子紹介しろ!」

「俺の周り女なんていないって」

嘘つけ。あんたの虜になっている女の子、社内だけで何人いると思ってんの?

29歳で課長。成績はトップクラスだし、人当たりはいい。

女子社員が放っておくはずがないのよ。

「お前の周り、女ばっかだよ」

伊丹も私と同意見。
忍と私の仲は誰にも話していなかったから余計なんだけど、私たちが付き合っている間も、忍に告白してきた女子社員は数知れずいた。

その一人ひとりに嫉妬していられるほど、私も暇じゃなかったけど。
< 136 / 210 >

この作品をシェア

pagetop