ロールキャベツは好きですか?
「松谷がのろけちゃってるよぉ」
「強引課長がね、あんな顔するなんて」
私たちの話に他の同僚も加わってくる。
「まさか松谷に結婚越されるとは思わなかった~!!」
すでにテンションが上がっている同僚の一人、伊丹(いたみ)が、忍の首に腕を巻きつける。
忍は苦笑しながら、その腕を解こうとする。
しかし独身男性(しかも酒入り)はしつこい。
「佐藤さん、どうやって落としたんだよ!?俺にもその技教えろ!」
「技なんてねーよ」
「じゃあ、せめて、可愛い女の子紹介しろ!」
「俺の周り女なんていないって」
嘘つけ。あんたの虜になっている女の子、社内だけで何人いると思ってんの?
29歳で課長。成績はトップクラスだし、人当たりはいい。
女子社員が放っておくはずがないのよ。
「お前の周り、女ばっかだよ」
伊丹も私と同意見。
忍と私の仲は誰にも話していなかったから余計なんだけど、私たちが付き合っている間も、忍に告白してきた女子社員は数知れずいた。
その一人ひとりに嫉妬していられるほど、私も暇じゃなかったけど。