ロールキャベツは好きですか?

「部長の一言で傷ついて、やけになった挙句、たまたまバッタリ会った俺にあの発言か」

「冷静になって思えば、すっごいひどいこと言ったよね」

ごめんって呟いて、彼女は項垂れた。
俺に状況を説明する間に、幾分かの冷静さは取り戻したようだ。

「私に女としての魅力がないから双山さんに振り向いてもらえないのかな、って思えたら泣けてきて」

小さく笑って、向井はようやくカフェオレを開けた。
俺も缶コーヒーを一気に流し込む。

「……悪いけど、俺ができるのは、コーヒー奢って話聞くぐらいまで」

「……わかってる」

「誤解させないためにも言っとくけど、別にお前に魅力がないとかそういう訳じゃないから。ただ、俺にも彼女いてるし」

祈梨さんを傷つけるようなことは、絶対したくない。

だけど、傷ついた向井をほっとくこともできない。

なんだかんだ言いつつ、こいつは大事な友達だ。
俺の元カノ、玲奈とも仲がいいから、高校時代は話す機会が多かった。

そのときからずっと友達。

< 145 / 210 >

この作品をシェア

pagetop