ロールキャベツは好きですか?

「キャッ……!!」

爪が食い込むほど強い力で腕を掴まれた。
あっ!と思った途端に、視界がクルリと回った。お尻と後頭部に鈍い痛みが走り、蛍光灯の明かりの眩しさに目を潜める。

「大人しくしろ。渡邊祈梨」

地を這うような低い声が耳元でして、蛍光灯の光は不意に遮られる。

会議室の床に押し倒され、部長に跨がれている、わかるのは、それぐらい。

「人を呼ぼうなんてしたら、お前のクビを切る」

ここまで来たら、立派なセクハラでしょう!?

弱気になったら、負けだと、強気な目で目の前の男を睨みつける。
頬のひとつでも叩いてやりたいけれど、そこは抜け目のない部長。両手首は床に押さえつけられている。

「お前の強気な目もいいな。そそられるよ」

「やめて……!」

床に押さえつけていた両手首を今度は器用に片手で掴まれる。身体が震えた。スカートの中を這う手のひら。

「やめて……!やめて……!!」

身体全体で抵抗しているのに、部長の身体はビクリともしてくれない。
むしろ、抵抗する私を笑って、楽しんでいる。

「大人しくしな。後悔させないぐらい気持ちよくしてやるから」

「要らない……!あんたなんか要らないんだから……!!」

助けて。誰か!
お願い!助けて……!!
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