ロールキャベツは好きですか?

side:祈梨


感情が消えた。
感覚が消えた。

目を開けていると、上下する真上の男に合わせて、蛍光灯が見え隠れする。

下着を脱がされた時点で私は抵抗をやめていた。
先週末には受け入れた男とは違う人に今、抱かれている。

息も声も乱れだにしなかった。
ただひとり、私の上にいる男だけが動きにあわせて、息を乱している。

相変わらず、愛なんてない行為に涙だけがとめどなく溢れてくる。

「……あっ……う」

やがて。
低い声でうめいてから、彼は私のなかで、果てた。

私から離れると不敵な笑みを浮かべながら泣き顔の私を覗き込む。

「このこと誰にも言うなよ。言ったらどうなるかわかってるよな?」

脅し文句とともに頬を撫でられた。涙を拭う指先が何故か優しくて、ゾッとした。
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