ロールキャベツは好きですか?
♢
side:祈梨
感情が消えた。
感覚が消えた。
目を開けていると、上下する真上の男に合わせて、蛍光灯が見え隠れする。
下着を脱がされた時点で私は抵抗をやめていた。
先週末には受け入れた男とは違う人に今、抱かれている。
息も声も乱れだにしなかった。
ただひとり、私の上にいる男だけが動きにあわせて、息を乱している。
相変わらず、愛なんてない行為に涙だけがとめどなく溢れてくる。
「……あっ……う」
やがて。
低い声でうめいてから、彼は私のなかで、果てた。
私から離れると不敵な笑みを浮かべながら泣き顔の私を覗き込む。
「このこと誰にも言うなよ。言ったらどうなるかわかってるよな?」
脅し文句とともに頬を撫でられた。涙を拭う指先が何故か優しくて、ゾッとした。