ロールキャベツは好きですか?
一口にまくし立てると、忍は苦笑した。
「お前の仕事好きも大概だな。さすがは社内初女性管理職だ」
「見てなさい。今に、女性初の課長になってやるから」
私の挑戦的な態度に、忍はやっと声を立てて笑ってくれた。
「楽しみにしてるよ、渡邊主任」
よかった。色々ギスギスしたまま、別れずにすみそうだ。
「佐藤さんは無理させないように、気をつけるわ」
「頼む。お前も倒れるなよ?お前が労働不能に陥ったら、うちの会社は倒産する」
大袈裟な、と笑い飛ばしながらも、素直に彼の言葉が嬉しかった。
こいつは時々不意打ちで人の心配をしてくれる。
だから、いくら強引な課長でも、部下からの信頼は厚いのだ。
「ま、忠告は素直に受け取っとくよ。体調不良にいつも気が付かなくて自己管理がなってないってどこぞの課長さまに怒られるのは屈辱だしね」
「お前が熱出しても気づかないくらい鈍感なのが悪い」
なんだかんだで私の体調不良に1番に気づくのはいつもこいつだ。
私よりも早い。
お前顔赤いぞと言われて、半信半疑で熱を測ったら38℃超えてたし。
お前顔青白い、と言われた次の瞬間、貧血で意識無くしたり。
あとは……胃にいつも手をやってると言われて病院に行ったら、胃に穴が開いていたり。
熱も胃痛も目眩も、知らない間に我慢しているらしい。私は。
そんな私を鈍感だと忍は呆れる。