ロールキャベツは好きですか?
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side:祥吾
夜。電話がかかってきたとき、俺は台所に立っていた。
ちょうど昨日、大家さんにキャベツを沢山頂いたから、ロールキャベツを作っていたところだ。
ロールキャベツが大好きな祈梨さんにも少しおすそ分けしようと思っていた。
祈梨さんが好きなコンソメ味のロールキャベツを鍋でグツグツ煮込んでいるとき、スマホが奏でる軽快な着信音が耳に届いた。
コンロの火を消して、居間にあるスマホを手に取った。早く出ろと訴えるスマホに慌てていたから、ろくに相手の名前も見ずに、出てしまった。
「もしもし」
『あ、田島?私』