ロールキャベツは好きですか?
しばらくは、お互い仕事に向き合っていた。
外回りで使う資料作りが一段落して、私は瞼をクリクリと押した。
暗い室内でパソコンの明かりを見ていると必要以上に目が疲れる。
「一区切りつきましたか?主任」
カピバラくんこと田島くんが細い目でこちらを見ていた。
こいつはいつも陽気だよなぁ。
疲れを感じさせない顔をする。
「そろそろ帰ろうかな。お腹も空いたし」
時間を見ると21時だ。
お腹空いた。
「所要のついでに食べなかったんですか?」
「喫茶店に入ったから、コーヒーしか頼まなかったわ」
「じゃあ、一緒に食べませんか?送りますよ家まで」
サラリとそれだけ言って、田島くんはパソコンの電源を落とした。
「送るって……え……」
「どうせ最寄り駅まで一緒ですよ。しかも、主任のマンション、俺の通勤路だし」
「え……うそ。最寄り駅一緒?」
「知りませんでしたか?」
「……知りませんでした」
そんなに近くに、会社関係の人が住んでるなんて。