ロールキャベツは好きですか?

しばらくは、お互い仕事に向き合っていた。

外回りで使う資料作りが一段落して、私は瞼をクリクリと押した。

暗い室内でパソコンの明かりを見ていると必要以上に目が疲れる。

「一区切りつきましたか?主任」

カピバラくんこと田島くんが細い目でこちらを見ていた。

こいつはいつも陽気だよなぁ。
疲れを感じさせない顔をする。

「そろそろ帰ろうかな。お腹も空いたし」

時間を見ると21時だ。
お腹空いた。

「所要のついでに食べなかったんですか?」

「喫茶店に入ったから、コーヒーしか頼まなかったわ」

「じゃあ、一緒に食べませんか?送りますよ家まで」

サラリとそれだけ言って、田島くんはパソコンの電源を落とした。

「送るって……え……」

「どうせ最寄り駅まで一緒ですよ。しかも、主任のマンション、俺の通勤路だし」

「え……うそ。最寄り駅一緒?」

「知りませんでしたか?」

「……知りませんでした」

そんなに近くに、会社関係の人が住んでるなんて。
< 18 / 210 >

この作品をシェア

pagetop