ロールキャベツは好きですか?
俺は手のひらに収められた靴下を見つめる。
「……いえ。こんな靴下、初めて見ました。これって……子供用……ですよね?」
靴下は手編みのように見える。
不器用な祈梨さんに編み物の趣味はないはずだから、おばあさんかお母さんが編んだものだろうか?
靴下の編み目を指でなぞりながら、洋平さんを見つめると、彼はどこか哀しそうな目で静かに告げた。
「それは、俺の祖母が編んだんだ。姉ちゃんのお腹にいた赤ちゃんのために」
絶句した。
全くの初耳だった。
……赤ちゃん。
祈梨さんがかつてその身体に命を宿したことがある。
「まぁ、俺も当時の姉ちゃんをあまりよく知らないから何とも言えない。けど……この話の続き、気になるなら、自分で姉ちゃんに聞け」
俺は強く何度も頷いた。