ロールキャベツは好きですか?
田島くんはもう準備をして私を待っている。
私も慌てて帰り支度をした。
まぁいいか。
嫌いな上司と食事に行くわけじゃないし。
数いる後輩の中でも田島くんは関わりやすい人だ。
忍ほどの天才的な仕事はできなくても、頑張り屋さんだし、取り引き先からも好かれている。
「お待たせ。行こうか」
通勤鞄を持って声を掛けると、カピバラくんは嬉しそうに微笑んだ。
目尻にシワが出来ている。
「一度ゆっくり主任と話してみたかったんです。主任、飲み会とかは部長方に取られてしまうし……」
会社の飲み会では必然的に管理職だけのグループができてしまう。
その中で唯一女である私はいつも部長方のお酌をする羽目になるのだ。
「まぁそうよね。その分今日は飲もうか」
「え、飲むんですか。今日月曜日ですよ?」
「二日酔いが出ない程度にね。あれ。飲めなかったっけ?田島くん」
「人並みはいけますけど。どこ行きます?」
「うーん」
今日の食事……。
不意に聞かれるとすぐにはでてこないのよねぇ。