ロールキャベツは好きですか?

「どうしてその靴下……!」

「昨晩、祈梨さんが落としたんです。洋平さんから多少の事情は聞きましたが、ちゃんと、祈梨さんの口から教えて下さい」

「洋平から聞いたって……何を……」

「とぼけないで下さい。何のことを言っているかなんて、俺より知ってるくせに」

彼女は迷ったかのように、視線を宙に彷徨わせた。

「理由はちゃんと話してあげてくださいよ。田島に。別れるかどうかを決めるのは、主任一人で決めることじゃありません」

毅然として言い放ったのは、向井だ。
強い口調に、祈梨さんは何も言い返せなくなる。

「……わかった。話すわよ」

しばらく悩んだ末にようやく、祈梨さんは口を開いた。
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