ロールキャベツは好きですか?

不安はいっぱいあった。
いっぱい迷った。

「でも。子供を堕ろすっていう選択肢は全く浮かばなかった。一人親でもいいから、育てようって」

そんな不安な私を支えてくれたのは、家族だった。

「家族はね、私の妊娠を心から喜んでくれた。特に祖母は本当に嬉しそうで、気が早いって言うのに、この靴下を編んでくれたの」

男の子でも女の子でも履けるようにって、緑色の毛糸が使われた。

おばあちゃんの愛情いっぱいの靴下。

だけど……

「6週目のとき、突然の腹痛に襲われて……」

今でも覚えている。
仕事に向かおうと、歩道橋を歩いているときに強い痛みに襲われた。

動くことなんか到底叶わず、近くにいた人が救急車を呼んでくれたけれど、恐怖でいっぱいのまま、意識を手放した。
お守りのように、ただ、靴下を握りしめていたことだけは覚えている。
< 196 / 210 >

この作品をシェア

pagetop