ロールキャベツは好きですか?
そんなことをするのは、ここの部屋の主しかいないわけで。
「主任……?」
呆然と主任を見つめると、彼女の瞳から水滴がこみ上げ、こめかみを濡らしシーツに流れ落ちた。
「行かないで……」
驚くことにそれは主任の涙だった。
「そばにいて……アメリカになんて、行か……ないで……」
主任はまた、寝息をたてる。
アメリカ?
……なんの話だろう。
さっぱりわからないままだったけれど、その言葉の真意を問うことも、その熱い手のひらを振り払うことも、俺はできなかった。