ロールキャベツは好きですか?
「叔父ちゃんは?」
祖父母の家の居間で疲れたように座りこけていた私の弟、洋平(ようへい)が戻ってきた私の気配に顔を上げた。
「だめ。出てこない」
「じいちゃんも駄目だった。不貞腐れて今散歩に行った」
やれやれと座った私に、洋平の娘、杏(あんず)がトコトコとやってきた。
「杏、おいで」
1歳の可愛い姪っ子に手を広げてあげると、愛想よく笑いながら、私の胸に飛び込んできた。
「杏は素直で可愛いね、ほんと」
「ねぇね!」
「そうだよ。ねぇねだよ。おしゃべりも上手だね」
膝に座らせた杏のモチモチお肌を指で突くと、ぷにぷにしていて気持ちいい。
カピバラくんもなかなかの癒やしだけど、やっぱり杏には負けるなぁ。
「それにしても、どうすんの。あの拗ね子ふたり」
「最悪、私たちだけでやるしかないでしょ」