ロールキャベツは好きですか?
「あー!もう分かったから。杏!」
折れたのは叔父さんのほうだった。
勢いよく、ふすまが開いて、杏は一瞬きょとんとする。
しかし、大好きなじっじを見つけると、すぐに満面の笑みを浮かべて、抱っこをせがんだ。
叔父さんは、ため息をつきながら、そんな杏を優しく抱き上げる。
「……杏パワーの勝利だな」
洋平が杏を讃えて微笑んだ。
「叔父ちゃん。杏とこれからも遊びたかったら、今日の法事出てくださいね?」
一度部屋から出たなら、この大事な法事が終わるまで、部屋には帰さないぞ、と洋平の目が光った。
こいつも叔父さんに負けず劣らず、頑固で負けず嫌いなのだ。
「それとこれとは関係ないだろ」
「ありますよ。親と不仲の叔父なんて、杏に近づけられません。杏の将来に暗い影を落としたらどうしてくださるんですか?」
「……」
洋平は親バカだと常々思っていたけれど、その洋平の言葉を真に受けて、少し考え込む叔父さんだって、相当な叔父バカだ。
「じっじ!あーぼ!」
親にも叔父にも愛される可愛らしいお姫様は、無垢な瞳で叔父さんを覗き込んでいる。
「……わかったよ。法事は出る」
負けた、と悲嘆の色を滲ませながら、叔父さんは、愛する杏ちゃんのサラサラな髪を撫でた。