ロールキャベツは好きですか?

「……わからないなぁ」

あれから数日。
主任はいつも通り働いている。

さすがに倒れたのはまずいと思ったのか、目に見えるほどのオーバーワークはしなくなった。

迷惑をかけた、って何度も主任は謝るけれど、俺にとっては、迷惑なんて思わなかった。

主任の無防備な寝顔見れたし。
温かな手のひらのぬくもりも知ることができた。

あ、そうだ。
主任のことで解せないことはもうひとつあった。

あの晩、熱で苦しんでいた主任がつぶやいた言葉。

『 そばにいて……アメリカになんて、行か……ないで……』

泣きながら言った主任。
その言葉は誰に向けられたものだったのだろうか?
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