いちごたると
机に書いたラブレター
せっかく勇気を出したのに。
私ってばほんとに馬鹿だ…
手紙で呼び出すところまではよかった。
でも、
その呼び出した場所まで行けなかった。
足がすくんじゃって、
緊張で震えてきて、
ただの挙動不振になってた。
「…好きって言うつもりだったのにな…」
誰もいない教室で、ぼんやりとたそがれる自分。
ふらふらとした足どりで、大好きな彼の席へと近づく。
「…待ちぼうけさせちゃってごめんなさい…」
机を指先でなぞり、小さくため息をつく。
おもむろにシャーペンを手に取り、
机の片隅にこっそりと落書きをした。
“好き”
彼はこの2文字に気づくだろうか…
気づかない方がいい。
勝手に書いてしまった気持ちに、
少しだけ罪悪感を感じるから。
でもやっぱり、
気づいてほしいという気持ちが、
心のどこかに存在した。
「…帰ろっかな」
落書きした机をそのままに、私は鞄を持って教室を出た。
ばいばい。
また明日。
END.