愛しのモンティー
「ケース3」
***
「クシュン」
大きなくしゃみをして体を動かしたら”ブチブチ”と音がして髪の毛が大分抜けたか?
そう思う程に頭皮がヒリヒリと痛む。
どうも髪の毛の上には大きな塊が乗っかっているらしい。
ベリーショートに切った筈の髪の毛が頭に付いたままなのを不思議に思いつつ
例の塊が愛猫モンティーなのを横目で確認した。
それから部屋の中を見回せばそれもう言葉を失う程の凄まじい光景。
ゴロリと転がった数本の酒瓶とモンティーに寄ってこじ開けられた戸棚から転がり出た思われる買い置きのドライフードたち。
味の違う全てのフードをモンティーが自ら開封したらしい。
「モンティー……
ごちそうパラダイス……食べ放題ビュッフェは楽しかった?」
満腹になって幸せそうに私の髪の上で眠り続けるモンティーに笑いながらそう声を掛けた。
私が目覚めたのは土曜の夕方だった……
金曜の夜に酒を大量に飲み、ほぼ一日寝ていた事になる。
「はぁーあの4日間ものドラマが酔っぱらいの見た唯の長―い夢でしたか……」
【ケース3】は愛猫の擬人化だった。
今までのケースの中で一番長くて……
一番楽しくて……
その後が一番切ないけど……
「でも人間になったモンティーに会えるなら何度でも体験したなぁー」
本当に心からそう思えた。