あの夏の日 #6

さすがの私でも、疲れていた。
「莉咲、着いたよ!しっかり!」
「ハァ、ハァハァハァ」
加衣は、ニコニコしている。
あの後、私は加衣をおんぶして走って来た。
「ありがとね!」
「はぁ、は、うっん。」
「やっぱり、莉咲は逞しいね。」
『うっ…私が言って欲しくない言葉。だ って、=男らしいって意味じゃない? 』

元気がある加衣は、私に向かって…
「遅れちゃうよ!教室まで競争だよ!」
『全く…』
加衣が階段を登って行った。私も行かなきゃ!と思い、角を曲がった途端

ドンッ!
誰かにぶつかった。
「ごめ…」
「ごめんね。ケガはない?」

えっ?待って、待って待って…えっ、あっ?うっ…?もしかして、もしかしてだけどこの声って?

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