空蝉の華は二度咲かない
壱夜
───都心からちょっとばかし
離れたとある事務所一室─
コツ ─ コツ ─ コツ ─
コツ ─ コツ ─ コツ ─
───ゴーン ─ ゴーン
木製アンティークの時計
響き渡る振り子秒針は三時を告げる
『神崎さーん。コーヒー入りましたよ。』
「・・・・・」
『あれ、神崎さーん、コーヒーできまし…』
「Zzzz」
カチャッ
『ここ置いておきます。』
入れたてのブラックと、ミルク
シュガーは3本。いつものセット。
散乱した机の書類と
溢れかけた灰皿を避ける
「はっ…ハムナプトラ…が…sr…ぁ」
─────1時間経過
彼女は一向に起きる気配がない。
時おり変な寝言を交えるぐらいである
・そこのデスクに足を上げて偉そうに眠りに耽っている彼女は、神崎 八宵 さん。ルックスは最高だけど、性格に難ありで、例えるなら。・・・Mrs.バイオレンス&ペイン?こう見えて以外と尊敬はしているつもりだ。この人が僕の雇い主であり、有限会社「Doll」の社長でもある。
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