空蝉の華は二度咲かない
ガチャッ ───キィーー
唐突に事務所の扉が開いた
─────ガシャー
キャーッ!!
僕はダイナミックにブリッチでかわすことに成功したのだが、帰って来たあの子がとばっちりをくったようだ。
咲夜『ちょっと……さすがに…史也くん』
震える声が僕の背中に浴びせられる
視線をやると、今日に限って白のワンピースの彼女は怒りで顔が無表情になっていた。
それもそうだろう。通常頭に乗るはずのないコーヒーカップが、頭に乗っているのだから。
そこからコーヒー豆のゆで汁がポツリポツリと彼女の頬を伝って床に滴っていた。
『ちっ、違うんだよ!!咲夜ちゃん!これは神崎さんが…いきなりコーヒーを…』
神崎「あーあ、黒須。これ、咲夜マジギレしてるときの顔だわ~、謝れよちゃんと。」
「なにを他人事みたいに!!(怒)神崎さんも謝ってくださいよ!元はと言えば神崎さんが投げたんでしょこれ。それにコーヒー用意したのに眠りに耽っていたのは、神崎さんです!!」
神崎は時計をチラと見て
目を真ん丸にして一言
神崎「お腹すいた。オムライス。黒須!オムライス!!材料3人分2千円で足りる?あとで渡すから立て替えておいて」
「いやおい、ふざけんなコノヤロー」
七瀬『ねえ、着替えるから』
無色透明な声に溶けた怒りと殺気を感じる
黒須「咲夜ちゃん?…あの、ほんとにさっきのは不運だったというか事故だッ」
咲夜「だからとっとと行けぇえ!!」
ドタドタバタ
発言の途中から無理矢理ドアから蹴り出された始末である。
「・・・・はぁ~・・」