空蝉の華は二度咲かない
暁闇の月
まずは、なぜ僕がこのバイオレンスレディの弟子になることになった経緯から話すこととしよう。
時は遡る
2014年9月10日───2年前
ことのき私、黒須 史也は18歳、半年程前に田舎を離れ上京し独り暮らしを満喫していた最中の事であった。
友人も恋人も居ない僕の唯一の楽しみといえばバイトの休日に、喫茶店やマン喫をハシゴして一日ゆったりと過ごす事であった。
そんなある日の事だ。その日は例のごとく喫茶店での有意義な時間を過ごしたあと、帰りの途についていた。いつもより2時間遅い時間。辺りはほとんど暗くなっていた。
人通りも少ない。近道は無いものかと裏路地へと回った。