空蝉の華は二度咲かない


暗がりの街頭に照らされて
黒髪のロングヘアーが風になびいた




───例の彼女である。





出会ったと言うか
『見てしまった』だけれども……



女性が男4人に囲われていたのだ。


「うそだろ…」

(しまった。これはどうするべきか、今すぐ警察に通報するべきか?いや呼んでいる間に彼女が乱暴されたらどうする。)



中途半端な正義感と自分の力量を天秤にかけてみたが、どうにも第一歩が踏み出せない。







だって

(行けば確実に半殺しになるよね。俺が…)


でも

でも

でも

行かなかったらきっと後悔する──



そんな事を考えていた最中のこと
男が彼女の腕を強引に掴んだ


!!!


『やめろぉ!!』

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