素直になれない7センチ
「……もしもし。どうしたの?」
あ、やばい。ちょっと声震えちゃった。
気づかれていませんように。
「あれ。俺ってわかるんだ」
「……わかるよ」
私も番号をずっと変えていないし、夏目くんの連絡先も消してない。
……消せなかったんだ。
「なにそれ…………嬉しすぎ」
電話越しに聞こえてる夏目くんの声は本当に嬉しそうで、どう答えたらいいのかわからず下唇を噛みしめる。
「もう終わった?」
「うん。今から帰るとこだよ」
「じゃ、俺も行く」
「え!?」
理由を行く前に一方的に電話を切られてしまった。
俺も行くって……夏目くんとっくに帰ったはずだよね?