素直になれない7センチ



「そうだ」

「へ?」

「肉まん、食べる?」


手に持っていたコンビニの袋を持ち上げて、ニカッと歯を見せる夏目くん。



「え、いいの?」

「香穂さんお腹空いてるんじゃないかなって思ってさ」


ほかほかの肉まんを手渡しされて、「どうぞ」と食べるよう促される。

お腹ぺこぺこだったからすごく嬉しいんだけど、いいのかな。もらっちゃっても。


チョコレートといい、缶コーヒーといい、もらってばかりな気がする。



「あり、がと……」

「ん、温かいうちに食べよ」


ぱくりと一口、温かい肉まんを頬張る。

お、美味しい。

お腹が空いていたからかもしれないけど、肉まんがすごく美味しく思えて夏目くんよりも早く食べ終わってしまった。



ゆっくりと歩きながら夏目くんと帰る夜道は心がほっこりする。

わだかまりがなくなったからかな。それとも、肉まん食べているからかな。






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